子育て中の人のなかには、子どもにせがまれたり、子どもの心の成長を期待して、ペットを飼いたいと思っている人もいるでしょう。 ペットはかわいくて、癒しを提供してくれるだけでなく、ペットとともに暮らすことは、子どもたちに命の不思議や大切さを伝える経験にもなります。ペットは家族の一員なのです。 このところ、コロナ禍で在宅時間が増え、ペットを飼う人が増えている一方、いざ飼い始めたら「思っていたのと違う」という無責任な一言で、ペットを手放す人が増えているというニュースを耳にすることも多くなりました。 ペットは生き物であり、ペットを飼うことは生き物の命を預かることです。 この記事では、ペット飼育を考えている人に向け、ペットを飼うメリット・デメリットのほか、ペットを飼う前に知っておきたいことを紹介していきます。 ぜひ、飼い始めてから「思っていたのと違う」ということがないように、心構えをきちんとしてから、飼育を始めてください。
目次
子どものいる家庭でペットを飼うメリット
人間以外の生き物に触れる機会に
当たり前ですが、ペットは“人間ではない他の生き物”です。ペットを飼うということは、人間以外の生き物に触れ、ともに生活するということなのです。 ペットと一緒に暮らすことを通じて、ほかの生き物を必要以上に怖がったり、苦手になったりすることを防ぐことにつながるでしょう。また、ほかの生き物に興味をもつ大きなきっかけにもなります。
心の癒し、ストレスの緩和に
ペットはとてもかわいい存在。言葉は話しませんが、だからこそ言葉を超えたつながりがもてます。 元気に動き回る姿からは、見ているこちらも元気をもらえますし、ウトウトかわいい寝顔には、ペットを飼っている家族にしか見せないなんともいえない愛らしさがあるでしょう。 もこもこ、ふわふわの毛を触ったり、美しい色や不思議な形に見とれたり。間近にいるからこそ、動物園や水族館のガラス越しで眺めるのとは違う、生きている存在ならではのぬくもりがあります。 ペットの存在は、わたしたちに心の癒しを与えてくれ、ストレスをやわらげてくれます。昨今は、子どももストレスを多く抱えている時代。大人だけでなく、子どもの精神面にも、きっとよい影響を与えてくれるでしょう。
愛情や慈しみの気持ちを育てる
ペットの多くは、飼い主が愛情をもってお世話をしたり、コミュニケーションをとったりしていると、ペットのほうも愛情を示してくれるようになります。 たとえば、犬がしっぽを振ったり、猫が体をすりつけてきたり……。それぞれの生き物なりの方法で愛情を表現してくれるのです。 毎日、ペットとともに生活することで、子どもは自分の愛情を注ぎ、ペットからの愛情を受け取り、愛情や慈しみの心といった豊かな感情を育めます。
誰かをお世話する気持ち、自分が必要とされる気持ちを知る
野生動物と違って、ペットは人間の手を借りなければ生きていけません。 ペットが健康に毎日過ごすためには、エサや水やり、ケージなどの環境を整える必要があります。 子どもは、ペットにはどういうお世話が必要なのかを知り、お世話を通じて、「自分が必要とされる気持ち」「役に立っているという達成感」を感じていきます。 こうして、自分以外の誰かをお世話する、優しい心が育まれるのです。
命に対する責任感、命の尊さを学ぶ
ほとんどの生き物は、わたしたち人間より早く、寿命が尽きてしまいます。また、病気やケガ、誤った飼い方などによって、寿命を迎えられずに命を落とすペットもいるでしょう。 愛情を注いだ対象、いつも一緒にいた存在がいなくなることは、残された者たちに大きな喪失感と悲しみを残します。 しかし、そうした体験を経て、子どもは「限りある命の大切さ」を学び取ることでしょう。そして、預かっている命、自分が関わっている命に対する責任感が芽生えるのです。 このように、子どものいる家庭でペットを飼うことには、さまざまなメリットがあります。ただ、生き物の命を預かるということは、メリットだけに注目してばかりでは済まない、責任ある行為です。 ここからは、ペットを飼おうと思ったときに、留意したいこと、注意すべきことについてお話したいと思います。
ペットを飼うなら気をつけなければいけないこと
とくにこれまでペットを飼ったことがなく、初めてペットを飼う人にとって、ペットを飼うことは、楽しみでもあり、不安でもあるかもしれません。 ペットがいざ手元にきたときに知識や準備が不足していて慌てることがないよう、万端にして備えたいものです。 その生き物に適切な栄養のあるエサや新鮮な水を、毎日(生き物によっては毎日ではない可能性もあり)のように、欠かさず与えたり、生態に合った飼育環境を整えたりしなくてはなりません。
毎日のお世話と経済的な負担、食べ物
当然のことですが、ペットは生き物です。わたしたち人間と同様、生きていくためには、水や栄養が必要です。 「どんなものを食べるのか」「そのエサはどこで手に入るのか」「生のまま、あるいは調理が必要なのか」「どれくらいの周期で給餌するのか」「水は毎日どれくらい飲むのか」「生活サイクルが夜型なのか昼型なのか」そういったことをあらかじめ知っておくことが必要です。 生き物の種類によっては、エサが虫や生餌の場合もあります。「苦手だから、エサをあげられない」では済みません。かわいいという思いだけでは、生き物は飼えません。 飼いたいと思っているペットがどんな生き物なのかを事前にきちんと知り、自分の家庭で日々のお世話が現実的に可能かどうか、家族全員で把握しておきましょう。
ペットの居住空間を確保
わたしたち人間に“家”や“寝室”が必要なのと同じように、ペットにも専用の居住空間やプライベートスペースが必要です。 それぞれの生き物の特性に合った環境を整備します。 たとえば、ケージや水槽はどのくらいの大きさのものがよいのか、土や海藻などは必要なのか、暗くしたほうがいいのか、日当たりがよい場所を好むのかなど、生き物ごとに異なるので、これもよく事前に調べておきましょう。 あまりに広いスペースが必要なら、飼うのが難しい場合もあります。生き物の居住空間を設置する予定の部屋の広さも、きちんと考慮しましょう。 また、引っ越しが多いライフスタイルの人は、ペットを飼うのは難しいかもしれません。引っ越し先がペット禁止の場合は、飼い続けられなくなってしまいます。
旅行など、不在ときの手配が必要
家族が不在のとき間は、自宅でペットがひとりで過ごすことになります。生き物の生態に合った温度・湿度管理をしてください。長い時間留守にする場合は、とくに注意を払いましょう。夏の暑さや冬の寒さが、生き物の命を奪ってしまうこともあります。 また、旅行など長期に渡って家をあけるときは、生き物の世話をペットシッターに頼んだり、ペットホテルに預けたりするなど、手配が必要です。 一緒に旅行に連れていく場合、長時間電車や車で移動することになり、いつもと違う環境は、当然ペットに負担がかかります。そのことは常に頭に置いておきましょう。 水やエサ、常備薬の用意、トイレの手配などの準備はもちろん、ペットへの負担が少ないスケジュールを考えなければなりません。 また、宿泊先がペットOKなのか、事前にしっかり確認しましょう。
事前に家族のアレルギーの有無を確認を
動物を飼う前に、絶対に確認してほしいことの1つが、家族にアレルギーがないかどうかです。人によっては、ペットから出る毛や体液(よだれ、尿など)、ダニの発生によって、アレルギーを発症することがあります。 皮膚炎やアトピー症状、喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎といった、アレルギー症状も重度になると、生活に支障が出てしまいます。 アレルギーによって飼い続けられなくなった、という悲しいことが起きないよう、事前に確認をしてください。
鳴き声や臭いの問題も
たとえば犬など、ペットによっては鳴き声を出したり、活発に動き回ったりするものもいます。とくにマンションでは、近隣住民の方への配慮が欠かせません。 しつけをきちんとする、決まったとき間以外はケージから出さないと決めるなど、マンション内のルールや常識に則って、マナーを守ってペットを飼いましょう。 また、ペットは当然ながら生きているため、うんちやおしっこをしたり、毛が抜けたりします。排泄物をそのままにしておくのは不衛生で、雑菌や臭いの原因にもなるため、排泄物の処理やトイレの掃除などは、日常的に欠かせません。 掃除の仕方や周期、トイレグッズに必要な備品など、きちんと知識として知っておきましょう。とくに赤ちゃんがいる家庭では、ペットの排泄物や抜け毛、ペット関連備品を赤ちゃんが口にしたりしないよう、注意が必要です。 子どもがある程度大きくなったなら、掃除のお世話を手伝ってもらったり、ノルマとしてお任せしたりするのもよいかもしれません。みんなでペットのお世話をすることで、命に対する責任感も芽生えますし、愛情もますます深まるでしょう。
飼育には思った以上にお金がかかる
頭に置いておいてもらいたいのが、「ペットの飼育には経済的な負担がある」こと。 日々のエサ代はもちろん、ケージ代やトイレの設備、首輪やリードなどを購入する費用といった初期投資がかかります。 また、病気やケガの際の通院だけでなく、ペットのノミ対策、去勢手術や予防接種、定期的な健康診断など、医療費もかかります。ペットの医療費は高額になることもあるため、万一に備えて、ペット保険の加入も検討したほうがよいでしょう。 さらに、旅行に出かけるときなどにはペットホテル代、毛の長い犬の場合にはトリミング代といった料金がかかることもあります。家計の負担にならないかどうかよく考えてから、飼育を始めることが大切です。
まとめ
ペットは、生きている生き物です。ただかわいいという気持ちだけでは、生き物は飼えません。飼い主は、「生き物の命を預かる」という覚悟を常にもつことが重要です。 ペットは自分ひとりでは生きていけません。日々のお世話は欠かせませんし、飼育費用や手間もかかります。ときには、病気になることもあるでしょう。 わたしたち飼い主には、生き物が天寿を全うするまで、一緒に生きる覚悟と愛情が要求されるのです。 ただ、そうしたかけがえのない時間をともに過ごすことで、子どもたちはペットに対する愛情や慈しみの心を育み、喜びや悲しみを経て、大きく心を成長させていくはずです。 ふと気づけば、ペットはかけがえのない家族の一員として、ともに歩んでいるでしょう。 ペットのいる生活、あなたも始めてみませんか?
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